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令和7年度

年少クラス

令和7年度 年少組 年間保育実践 振り返り・総括報告書

2025-12-26
1.はじめに ― 年少の保育で大切にしてきたこと
年少児の学びは、計画された活動の中で“教えられて身につく”というより、目の前の出来事に心が動き、身体が先に動くところから始まります。

本園では年間テーマを「広がる世界」としましたが、これは活動を当てはめる“枠”ではなく、年少児の 「見つけた!」「なんだろう?」「やってみたい!」 をつなぐ糸として位置づけ、日々の生活と遊びの中で生まれる偶発性を、探究の中心に据えてきました。
2.年間を貫いた探究の構造 ― 「出来事としての学び」
本年度の年少実践は、一貫して

気づく(目に入る/触れる)

言う(言葉が漏れる)

やる(とにかく試す)

友だちが寄る(まねる/一緒にする)

世界ができる(見立て・ごっこ・場づくり)

という流れで立ち上がりました。

年少らしさは、
「理由を説明できる」より先に、“おもしろい”を共有して動くところにあり、
そこに保育者が環境と記録で寄り添うことで、学びが“続き”になっていきました。
3.「広がる世界」として連なった年少の実践(年間の流れ)
① 形へのまなざしが芽生える(4〜5月:ダンゴムシ→磁石)

園庭での遊びの中で、年少児は
「まるまるダンゴムシ」「四角できたよ」
と、“形”そのものに気づき、喜ぶ姿を見せました。

この“まる”“しかく”への興味を受け、磁石(○△□)を用意すると、最初は
貼ること自体が楽しい(黒板が埋まる喜び)段階から始まりました。

しかし、保育者の見立て(家、芋虫)をきっかけに、

「まるつなげたら、いもむし!」

「ロケットみたい!」

「どうぶつえんで見たさる!」

と、形が“もの”になり、ものが“世界”になる方向へ進みました。
さらに反発・吸着に気づき、遊びの中で自然に
「この磁石はちがう」
と“違和感”を捉える姿も生まれ、年少の探究が「感覚→法則の芽」へ育ち始めました。

育ちの焦点(この時期)

「見つけた」を言葉にする

友だちの遊びを“目で盗む”

形や違いに気づき始める

② 形が“道具”になり、ごっこが“社会”になる(6月:釣竿→魚釣り→お店)

空き箱で釣竿を作った子を起点に、年少の世界は一気に広がりました。

「どうやって作るの?」(友だちが寄る)

「ここつなげるといいよ」(作った子が教える)

「お魚がいればいいのにね」(世界が必要を生む)

青い画用紙が“水”になり、新聞紙が“囲い”になり、
何もない場所に「池」が立ち上がります。
年少のごっこの特徴は、“あることにする”ことで世界が成立することです。

さらに、前回の磁石遊びがここで生き、
磁石が「釣れる」ことに気づいた瞬間に、遊びは“発見”から“仕組み”へ。
「釣った魚を食べたい」から、焼き魚屋・バーベキューへつながり、
未就園児(なかよし学級)を迎える場面では、

「いらっしゃいませ」

「どうぞ」

と、年少児が**“迎える側”**を経験しました。

育ちの焦点(この時期)

自分の発想を他者と共有する

“道具”を作って世界を広げる

相手がいる遊び(やりとり)の芽生え

③ 命へのまなざしが育つ(7月:ダンゴムシのお家)

「ダンゴムシのお家を作りたい」
たった一言が、探究の旅を動かしました。

捕まえる怖さ、触る緊張、入れ物に入れる工夫。
砂山から転がり落ちる予想外の展開。
そのたびに子どもたちは

「どうしよう」

「こうしたらいいんじゃない?」

と、試し、直し、また試すことを繰り返しました。

印象的なのは、埋めようとしたときに出た
「お母さんに会えなくなったら泣いちゃう」
という声です。
年少児が“命を守る”を言葉にし、話し合い、戻すことを選んだ経験は、
知識ではなく関係性としての倫理が育った場面でした。

育ちの焦点(この時期)

試行錯誤をやめない

友だちの意見で立ち止まれる

生き物を「かわいい」から「大切」へ

④ “みんなで”ができるようになる(10月:土・砂場プロジェクト)

「頑張って運んだ土で、何作る?」
年少児は自分の思いを言葉にし、相談し、リーダーを立てて進めました。

キティちゃんのお山、トンネル、車。
ここでは、完成品よりも

「かためないと!」

「左右から掘ろう!」

「手がつながった!」

という過程の共有が中心になります。
段ボールが破れる失敗も、
「パンパンしてないからだ」「強い段ボールがいい」
と原因を“自分たちの言葉”で捉え、再挑戦へ。

完成後には
「町だよ」「イオンがある」
と、作ったものが“舞台”になり、生活の世界が再現されるところまで広がりました。

育ちの焦点(この時期)

相談して決める

役割(リーダー)を経験する

失敗を“次の方法”に変える

⑤ 季節が“遊びの素材”になる(11月:落ち葉ひろい)

秋の落ち葉は、年少児にとって「教材」ではなく、
宝もの/ごはん/ジュース/お面になります。

「おっきい!」

「ちいろ(黄色)」

「これ、チョコレート!」

年少の言葉は、詩のように世界を変えます。
春のダンゴムシで始まった「探す・見つける」経験が、
秋には「比べる・見立てる・伝える」へと育っていました。

⑥ 異年齢で学び合う(12月:砂の山)

砂の山は“補充”のための環境ですが、今回は
年少が年長の姿を見て自然に参加する場面が生まれました。

「こうするとこぼれないよ」

「一緒にやろう」

「競争みたいにする?」

年少児は、教えられるのではなく、
遊びの魅力に引き込まれながら真似ることで参加していました。

同時に、年長児にとっても
“伝える側”としての自覚が育つ機会となり、
砂山は学年を越えた学びの共同体を生む環境となりました。
4.年少児の成長(質的変化)― 今年見えてきた「育ち」
一年間を通して、年少児には次のような変化が見られました。

(1)「気づいた」を言葉にできるようになった

最初は「わー!」で始まっていたものが、
後半には「なんで?」「こうしたら?」へ。

(2)“ひとりの遊び”が“みんなの遊び”になる

誰かの発見に友だちが集まり、まねして、相談して、世界が立ち上がる。
年少児なりの共同が育ちました。

(3)失敗が“終わり”ではなく“つづき”になった

崩れた車、うまくいかないトンネル、逃げるダンゴムシ。
「もう一回」が自然に出るようになりました。

(4)命や相手への想像が生まれた

「泣いちゃうよ」という言葉に象徴されるように、
遊びの中で他者を思う力が立ち上がりました。
5.すくわくプログラムへの本園の立場(年少実践から)
本年度の年少実践を通して改めて確認できたのは、
探究は「時間割の中の特別活動」ではなく、生活の中で起こる出来事から生まれるということです。

したがって本園では、

テーマは“枠”ではなく“糸”

保育者は“記録者”ではなく“物語の編集者”

として、子どもの「過去・今・未来」をつなぐ見取りを重視しました。
6.おわりに ― 年少の「広がる世界」は、これからも続く
年少児は、まだうまく説明できなくても、
心が動いた瞬間に世界をつくりはじめる力を持っています。

丸いダンゴムシに笑い、
磁石で芋虫を作り、
釣竿で海を作り、
落ち葉をチョコレートに見立てる。

その一つひとつは小さく見えて、
子どもたちにとっては確かに「世界が広がった瞬間」でした。

本園はこれからも、
年少児の“今”から始まる問いを見逃さず、
生活の中で育つ探究を、子どもたちとともに編み続けていきます。
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